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1月の特集


高齢者の筋力トレーニングはタブー?!

 ひと昔前、高齢者の筋力トレーニングはタブーとされていました。しかし現在では後期高齢者でも筋肉が増強するという報告があるほどで、年齢に関係なく効果があるといわれ多く推奨されています。しかし数百個以上ある人間の筋肉をひとつひとつトレーニングするわけにはいきません。そこでポイントなる筋肉、トレーニングをお伝えします。

抗重力筋こうじゅうりょくきん とは?

 筋肉には重力に打ち勝つための抗重こうじゅう力筋りょくきん というのがあります。首の後ろの筋肉、背中の筋肉、お尻の筋肉、ももの前の筋肉、ふくらはぎなどを指します。
 これらは重力に抗して筋力が発揮されなくなると(いわゆる寝ていることが多い生活)みるみる低下をしてしまいます。
もちろん立ったり、歩いたり、階段を昇ったりという日常の土台となる動作も困難となります。
そこでこの「抗重力筋」をポイントとしてトレーニングすることをおすすめします。

トレーニングの勧め

年をとるにつれ誰でも身体機能は衰えますが、「年だから仕方がない・・・」という発想は不必要な低下まで招きます。まずは一種類からでも結構ですから、トレーニングを始めてみませんか?抗重力筋を多く動員できるスクワット(膝の屈伸)(下図①)はお勧めです。
難しい方は、椅子に座った状態から少しお尻を浮かすようにするだけでもいいです(下図②)。
10回×数セットが目標ですが、はじめは10回に満たない回数からでも結構です。
とにかく継続できるように工夫しながら取り組んでみてください。現在87歳でとってもお元気な女優の森光子さんも毎日欠かさずスクワットを実施しているそうです。
肩幅に広げる 前傾する
足は肩幅くらいに広げて、膝だけでなく股関節も同時に曲げる。
初めは図のように浅い角度から。
慣れてきたら掴まっている手も離してみましょう。
足を肩幅くらいに広げて体を前傾させる。
足の裏にしっかりと体重がのっていくのを確認しながら、お尻も持ち上げる。

介護をするみなさんへ

 
 介護をするみなさんの体力も重要です。介護をしている方へ
トレーニングを促すときには、是非一緒に取り組んでみてください。
20071225illust-walking.jpg

11月の特集


たかがトイレ?!されどトイレ。

今回は「トイレ動作」についておはなししたいと思います。
身体に不自 由が生じたとき「せめてトイレに行けるようになりたい」とおっしゃる方は多いと 思います。
私は初めて受け持った患者さんからもそう言われ、ベテランの先 生に「たかがトイレ、されどトイレと思いなさいね」と教えられました。

もう一度動作の確認を

① トイレに移動する
② 便器の位置に合わせて立つ
③ 衣服を脱ぐ
④ 便器に座る
⑤ 用を足す
⑥ 拭く
⑦ 便器から立つ
⑧ 衣服をつける
⑨ 便器から離れる(移乗する)
⑩ 部屋に戻る
 このように改めて考えてみると、実に多くの過程があ ります。障害をもったときにはじめてこの過程の多さを意識して、愕然としてしま うのではないでしょうか。
しかしきちんとこの過程を意識し、どこができて どこができないのかと整理することがとても大切です。
そうすることで、環境を整える(手すりをつける・便座を高くする・介助者がつくなど)ことや、機能訓練をする(筋力バランス力のトレーニング・立ち上がり練習・移乗練習など)ことも、どこの過程において何のために必要なのかと理解でき、よりよく進みます。
一気に解決しようとしたりあきらめたりせず、過程を分けて考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか
トイレ

介護をするみなさんへ


トイレ動作は本来、『個の時間・空間』 でもあるという面も忘れないでいていただきたいと思います。ほんの一瞬・小さな 工夫や気遣いでも、介助をうける側はそれを保たれていると感じてくださるはずで す。

9月の特集


さあ、立ち上がりましょう!

でもその前に・・・少し準備をしましょう。


 「立ち上がり」は移乗や移動につながる大切な基本動作です。立ち上がるためには大腿だいたい 四頭筋しとうきん (太ももの筋肉)や大殿筋だいでんきん (お尻の筋肉)の筋力も大切ですが、効率よく立ち上がるための準備もあります。

準備のポイント

① お尻を前に移動する。
② 足を手前に引く。
③ 身体を前傾する。
お尻を前に移動する 足を手前に引く 身体を前傾する
お尻から足までの距離をできるだけ短くすることがポイントです。 両足、もしくは片足を手前に引きます。 足よりも頭が前にでるように前傾します。

 こうすることで足の裏にしっかり体重がのって自然にお尻も持ち上がり、立ち上がるための準備が整います。

介護をするみなさんへ


 立ち上がりの介助の場合、横からもしくは前方からが考えられますが、どちらのときでも「準備」の必要性はかわりません。
 どんな動作の場合でも「声かけ」をして、相手にひとつひとつの動作を理解してもらうことも介助量軽減につながります。介助量が軽減するということは、相手の能力が活かされているということです。

7月の特集


起きて、座りましょう!

 前回は起き上がるためのポイントでした。今回は座ることの利点とよりよい座り方についてお話したいと思います。
起きて、座るということには様々な利点があります。
血液循環がよくなる(内臓の働きを促進)ので病気の併発を防ぐ。
座ることで体幹の筋肉(腹筋や背筋)やバランス機能を使う。
周囲の景色を見渡せるので、見当識障害(今はいつなのか、場所がどこなのかわからないこと)を防いだり、活動意欲を向上させる。
 
まずは、ギャッジベッド(調節機能のついたベッド)で背を起こすことでもかまいません。ただし慣れてきたら下図のようにベッドサイドに座るようにすると②の利点が増します。その際布団がふかふかし過ぎていたり(かけ布団は除けてください)、足が床についていないと安定しなく、腰痛をまねくことにもつながりますので、環境面にも配慮してください。
ベッドに座る.jpg
床に足をしっかりつける 座面を安定させる

介護をするみなさんへ

 
 寝食分離(寝る場所と食事をする場所を分けること)が良いとされています。ただし、はじめから食堂に移動するのも大変な場合があるでしょうから、ギャッジベッドを起こして→ベッドサイドに座って→食堂でというふうに段階的に進めてみてはいかがでしょうか。

5月の特集


全ての活動は起き上がることからはじまります。

うまく起き上がるためのポイントって・・・意識したことがありますか?


 「ベッドからひとりで起き上がれなくなりました。お腹の力が弱ってきたのでしょうか。お腹の筋力トレーニングの仕方を教えてください」という質問をよく受けます。
こういった場合、まず
○起き上がるための環境
○起き上がりの方法

を確認します。筋力も少なからず必要ですが、上記の2点を改善することで起き上がりがすぐに可能になることが非常に多くあります。

起き上がるための環境と方法

 起き上がるための環境ですが、起き上がりたい方向に掴まりやすいもの(手すりなど)があり、さらに体の使いやすい側(片麻痺であれば非麻痺側)が向いていれば、腕の力を動因しやすくなります。
 起き上がりの方法としては、まずベッド上で横向きになり両足をベッドの下に下ろします。こうすることで両足の重みが利用でき、上半身を起こす助けになります。
 また忘れがちなのが、あごを引いて起き上がる方向に目線を合わせることです。これは体重の十分の一ほどもある頭の重みが、起き上がることを阻害しないためにも重要です。

介護をするみなさんへ

 
 起き上がりを全面介助する場合も、上記のポイントは変わりません。さらに、右記のように膝と手をつくと介護者の体にかかる負担が軽減されます。 2007042720070427okiagarikaijo.gif

3月の特集


みなさん、今、どんな姿勢をとっていますか?

隙間があれば・・・・うめましょう!


 長時間同じ姿勢をとっていると、どことなく体がだるく(もしくは痛く)なってきませんか?
 例えば寝るときの横になる姿勢はだれもが長時間とる姿勢ですが、「首が痛い、腰が痛い」などで目が覚めてしまうことはないでしょうか。そんな不具合を解消するには・・・・・?

「姿勢を安定させる」ことが大切

 安定させるための要素はたくさんありますが、まず体を支える面を広くとることからはじめてみましょう。
 寝るときの姿勢でいえば(仰向けならば)体の後面で広く体を支えています。しかしそれを妨げるような隙間は空いていないでしょうか?体はその隙間による不安定さを補うために筋肉などが長時間緊張し、痛みを起こすとも考えられます。
 もし隙間があるようならタオルなど軟らかいもので、そこを埋めてみてください。昨日よりもぐっすり眠れるかもしれません!
長く座っている時 床に足の裏がしっかりとついていますか?
長く立っている時 足と足の幅は十分に開いていますか?
横になっている時 首や肩、腰は床から浮いていませんか?

介護をするみなさんへ


 体の関節に拘縮がある方も、安定した姿勢がとりにくくなります。寝ている姿勢、車椅子の姿勢などよく観察し、隙間があれば埋めてあげましょう。きっと体が安定し、心身ともに楽になるでしょう。

1月の特集


新年あけましておめでとうございます。
日ごろの介護に加え、年末年始のあわただしさにお疲れ気味ではないでしょうか。体がずーん・・・と重くなってはいませんか。こんなときに無理をすると起こしやすいのが「腰痛」です。
そこで今回は「介護と腰痛」についてです。

以前、訪問介護のお仕事をされている方の腰痛経験を調査したところ、70%の方が「あり」という回答でした。介護には腰痛がつきものと言われますが、ちょっとしたコツによって改善・予防ができますので、今回はそのポイントをお伝えしたいと思います。

ポイントは次の3点

足の幅は、肩幅より広げる。
かがむ時は、腰よりもひざを曲げる。
介護される人と自分の体は、なるべく近づける。
この動作をする際には、バーベルを持ち上げる重量挙げの選手をイメージしてみてください。選手たちはトレーニングを積んでいるとはいえ、100kgを越えるバーベルを持ち上げます。それにはパワーだけではない、コツが潜んでいるとは思いませんか?足を広げ、バーベルを持つのに膝を曲げ、持ち上げるときには体の近くを通過させる・・・。 重量挙げ
それからもうひとつ。移乗(乗り移り動作)にも気をつけてみてください。人間にも軸があり、それを保てないと筋肉や靱帯などに負担がかかってしまいます。移乗時には自分の体を回す必要もありますが、常に体の中心を意識する(おへそから下腹あたりに力を入れて、そこを中心に自分の体を回す)ことがポイントです。

介護をするみなさんへ


上記のような場面では肉体のみならず、心理的な負担も多い状況で「なかなか実践は難しい・・・」と思われるかもしれませんが、ちょっと視点を変えて「これは絶好の訓練場面!」と考えてみませんか?
これまで挙げてきたポイントをおさえ体に余裕ができると、介護をされる側も非常に楽になり力を発揮しやすくなります。「一緒に立とうね・・・。いち、にの、さんっ」といった声かけをして、お互いのタイミングと力を合わせながら実施してみてください。継続していくうちに訓練効果が得られ、介護量軽減という結果にもつながっていくでしょう。

今年一年みなさまが、少しでも良好な心身コンディションで日々の生活を送っていけますように・・・・・。