思い出の場所へ、もう一度
「伊勢神宮に行きたい」――何気ない会話から、今回の旅ケアは始まりました。
そこは、亡き奥様と訪れた思い出の場所。
「歩けないけれど行きたい」「その旅行を楽しみに生きたい」という言葉を受け、私たちは一泊二日の旅を企画しました。
参加されたのは、平均年齢87.6歳のお客様3名。うち1名は車いすをご利用です。
職員3名が同行し、札幌から伊勢神宮を目指しました。
安心して旅を楽しむために
事前に車いすで利用しやすい参拝ルートやトイレ、荷物預かり所などを調査。
社内の専門部署とも連携し、お客様の身体状況に合わせた無理のない行程を整えました。
旅先では鳥羽での宿泊や伊勢神宮への参拝を楽しみ、お客様と職員が同じ景色を眺め、感動を分かち合いました。
宿泊先で始まった、人生についての語らい
夕食後、お客様同士がそれぞれの人生について語り合う場面がありました。
お一人が、笑顔でこう話されました。
「人生で思い通りになることなんて、せいぜい一割くらい。でも残りの九割は、それなりに生きて、それなりに歳を重ねていくものだよ」
別のお客様は、これまでの歩みを振り返りながら、穏やかに語られました。
「病気もしたし苦労もあった。でも資格を取って働き、家族と旅行にも行けた。
今振り返れば、本当にいい人生だった。もう悔いはないね」
周囲のお客様もうなずきながら耳を傾け、
話題は「生きている以上は前向きに考えたい」「自分のできることを精一杯やることが大切」といった人生観へ広がっていきました。
思い通りにならないことがあっても、一日一日を重ねていく。
その「それなり」の日々も、振り返ればかけがえのない、いい人生になる――。
長い道のりを歩んでこられた皆様の言葉には、深い重みがありました。
旅は、人生を分かち合う時間になる
旅を終えたお客様からは、「また行きたい」という声も聞かれました。
新しい楽しみを持つことは、日々の生活への意欲にもつながっています。
旅ケアは、単なる外出や移動の支援ではありません。
非日常の旅を通じて思い出をつくり、お客様同士や職員が人生を分かち合う時間でもあります。
今回の旅も、それぞれの人生を語り、互いの言葉に耳を傾ける、豊かな交流のひとときとなりました。







