ケアマネジャーからみた施設と介護サービスの選び方

年齢を重ね老年期の生活を心配される方は多くいらっしゃいます。
病気の悪化や転倒後の骨折などで突然介護が必要になるケースもある老年期、現在では40歳代から万が一に備え、終活ノートやエンディングノートと呼ばれるノート(終活・エンディング=「自らの人生の終わりに向けた活動」)を作成する方が増えているそうです。
病気やお金はもちろんですが、いざという時にご自身が過ごす施設や、自宅に住みながら受ける介護サービスついて考えた時「どのような介護サービス事業者が良いか?」、また「どのような点に着目をして介護サービス事業者を決定すれば良いか?」悩まれる方もたくさんいらっしゃると思います。 
それぞれどのような観点からご自身に合う施設や介護サービス事業者選びができるか、ケアマネジャー(介護支援専門員)からみた選び方をご紹介します。

※介護サービス事業者とは、介護保険事業者や介護保険外事業者を総称して介護サービスを提供する事業者のことです。

ご自身の思い・希望で決定する施設選びの流れ

はじめに、施設や介護サービス事業者を選ぶまでの流れをご紹介します。
「介護が必要かな?」と感じたら、お住いの市区町村や地域包括支援センターなどに相談してみましょう。

要介護認定を申請する場合、申請用紙と必要書類を提出します。その後、市区町村の認定調査員が訪問して、聞き取り調査を行います。一次、二次判定の後、要介護度が決定し通知を受け取ります。

要介護認定を受けると介護サービスを利用することができます。 
「要支援1・2」と認定された人は、地域包括支援センターで、「要介護1以上」と認定された人は、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業所(ケアプラン作成事業者)でケアプランの作成を依頼します。

ケアマネジャーは、自宅での生活を続けたいのか、それとも介護施設への入所を希望しているのかをはじめ、困っていることや、どのような介護サービスを受けたいのかなどを聞き、その人に必要な介護サービスを提案してケアプランを作成します。

介護保険制度利用の流れはこちら

施設やサービスを選ぶ際のよくあるご質問

施設や介護サービスを選ぶまでの期間で、よくあるご質問や悩みをご紹介します。

1.担当するケアマネジャーと意見が合わない

担当するケアマネジャーは居宅介護支援事業所が決めますが、どうしても意見や考えが合わない場合は、ケアマネジャーを変更できるので、遠慮なく居宅介護支援事業所や地域包括支援センターへ相談してください。

2.ケアマネジャーの提案にない施設やサービスを選びたい

特定の介護サービス事業者のサービスを希望する場合は、遠慮なくお伝えしましょう。
また、興味のある介護サービス事業者へ相談したり、有料老人ホーム等の紹介業者に相談することもできます。

3.一人で判断のつかない場面が多くて困る

ご家族や代理の方と相談して決めるとよいでしょう。

施設や介護サービス事業者を選ぶ基準

皆さんは旅行の宿泊施設やテーマパークに行く際、どのようなことで楽しみや安心を感じ満足されますか? 
清潔感、スタッフの笑顔や対応、食事、サービス、利便性、費用などそれぞれ大切にしたいポイントがあり、それが実現されることで、満足を感じるのではないでしょうか?

同じように、介護施設やサービスを選ぶ際、自分の優先順位を以下のリストを参考に考えておくことをお勧めします。

職員の対応

職員の挨拶や対応、言葉遣い。他のお客様同士の関わり方

設備・整理整頓

施設や介護事業所の清潔感、整理整頓の状況。居室や共有部分の設備

食事

食事メニュー・バリエーションや味つけなど

レクリエーション

適度に気分転換が図れるような外出やイベントの頻度

費用

掲示されている料金以外にかかる費用の確認

看取り

終末期と判断された場合、希望により看取りケアの対応が可能か

医療・介護サービスの連携

自身の健康状態やこれから必要となる介護サービスや医療との連携

介護保険外(自費)サービス

介護保険では提供できないサービスがオプションとして対応可能か

その他、ご本人の趣味や嗜好の観点でも気になる点をまとめてチェックしておくと良いでしょう。
人生の最終段階において過ごす場所やサービスを選ぶ際、可能な限りご本人に見学や体験をお勧めします。 現在では見学、体験入所や体験利用の可能な施設や介護サービス事業者がたくさんあります。ぜひ、素敵で満足度の高い日々を過ごせるように日頃から少しでも将来の事を考えてみましょう。

コラム監修

株式会社ツクイ
北越 和嘉子
ケアマネジャー

コラム監修

株式会社ツクイ
北越 和嘉子
ケアマネジャー

TOP