自宅でできる サルコペニア対策

サルコペニアとはギリシャ語で“筋肉”を表す「サルコ」と、“減少”を表す「ぺニア」を組み合わせた言葉で加齢に伴い筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態をいいます。
サルコペニアは要介護状態になる原因となることが多く、介護予防のためにはサルコペニア対策が重要とされています。

なぜ筋肉量の減少であるサルコペニアと要介護状態が関係しているのでしょうか。
それは、加齢とともに減少する下肢の筋力量が高齢者の日常生活や運動量に大きく関係しているからです。
高齢者の体の悩みに腰の痛みやひざの関節痛は多く、体に痛みを感じる部分があると、体を動かすことが減り、さらに筋肉量が減少し、転倒や骨折のリスクも高まります。こういった悪循環が続き要介護状態へと陥ってしまうのです。
大切なのは筋肉量を減少させないことです。これには「運動」と「栄養」の2つがとても有効です。

運動機能と栄養状態をチェックしてみましょう!

運動

check1 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
check2 椅子に座った状態から何もつかまらず立ち上がっていますか
check3 15分くらい続けて歩いていますか
check4 この1年間に転んだことはありますか
check5 転倒に対する不安は大きいですか

栄養

check1 6か月で2~3㎏以上の体重減少はありましたか
check2 BMIは18、5未満ではないですか

BMI=体重₍㎏₎÷身長₍m₎÷身長₍m₎ 
例)48㎏165㎝の場合 48÷1.65÷1.65=17.6

いかがでしたか?運動の項目で3個以上に〇がついた人、栄養の項目で2個に〇がついた人は、要介護状態につながりやすい傾向にあります。介護施設の機能訓練指導員や栄養士、かかりつけの医療機関に相談し、少しずつでも改善できるメニューを提案してもらいましょう。

自宅でできる!サルコぺニアを予防するポイント<運動編>

毎日の生活を活動的にすることで、筋肉量の維持、増強は可能です。サルコペニア予防となる運動はウォーキングなど外を歩くことも効果的ですが、今回は自宅でもできるポイントをご紹介します。無理なく少しずつ進めていきましょう。

座っている時間を減らす

座ったままで長時間、テレビの前で過ごしていませんか。立っているだけでも筋力は鍛えられます。「テレビはストレッチをしながら」など自分でルールを決めて工夫してみましょう。家の中でも洗濯や掃除などの家事は立って行う動作が多く全身の筋肉を、料理は握力を使います。これらの家事も筋力維持につながっているはずです。

筋トレをする

下肢を鍛えるストレッチを中心に生活に取り入れてみましょう。前回の『フレイル予防におすすめ!自宅で簡単エクササイズ』では腰や足を中心としたストレッチを紹介しています。椅子に座ったままできるストレッチや、下肢の筋肉を鍛えるストレッチとしてよく知られている『スクワット』のやり方も詳しく説明しています。

『フレイル予防におすすめ!自宅で簡単エクササイズ』

ストレッチが習慣化されたら、『少しきついかな・・・』と感じる程度の負荷をかけるメニューにアレンジしていくのも筋力アップにつながります。

自宅でできる!サルコぺニアを予防するポイント<食事編>

70歳以上になると、食事摂取量が減少するという栄養調査の報告があります。
年齢を重ねると、食事の量も控えめにした方がよいのでしょうか?
そんなことはありません。年齢を重ねると、栄養の吸収は若い人に比べて悪くなります。ですので体重や活動量に合わせてしっかりと食事をとることが大切です。
中でもたんぱく質は筋肉をつくる上で大切な栄養素です。ここではたんぱく質の上手な取り方をご紹介します。

具体的にたんぱく質を一日に必要な量摂取するには、何をどのくらい食べたら良いのでしょうか?おすすめは“手ばかり”です。手のひらに乗るサイズで、肉と魚は手の厚みが目安になります。一例で、魚、豆腐、肉、卵 これで一日に必要なたんぱく質がとれます。魚や肉の重さを毎回量って計算するのは大変ですが、この量を目安に覚えておくと一日に必要な量が分かってきます。

ツクイの管理栄養士おすすめサルコペニア予防の食事アレンジ

毎日の食事で栄養のバランスを考えるのは大変です。今は便利なレトルトや配食もありますが、味付けや塩分など自分の好みに合うものを見つけるのは難しいものです。自宅の食事で簡単に栄養をプラスできるアイデアご紹介します。

朝食におすすめ!

白いご飯に
+『おかか』『しらす』をのせてたんぱく質をプラス
+お味噌汁に豆腐を入れてたんぱく質をプラス
+バナナを1本追加して エネルギー、ビタミン、食物繊維をプラス

お昼ご飯におすすめ!

簡単な即席うどんに
+卵を入れてたんぱく質をプラス
+焼き鳥のつくねを入れてたんぱく質をプラス
+市販の青菜で野菜をプラス
+ヨーグルトを追加してカルシウムをプラス

すべて手作りの食事でなくても、簡単な一工夫でタンパク質やビタミン、カルシウムなどをプラスできます。栄養バランスの良い食事と適度な運動。そして規則正しい生活で健康でいきいきとした毎日を続けましょう!

※特定の疾患をお持ちの方は医師や担当の指示に従ってください。

【参考文献】
公益社団法人日本栄養士会健康増進のしおり「介護予防₍サルコペニア対策₎は筋力の維持増強と栄養改善からはじめましょう。」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」「日本食品標準成分表2010」「平成28年国民生活基礎調査 概況『第10表 性・年齢階級・症状(複数回答)別にみた有訴者率(人口千対)』」

コラム監修

株式会社ツクイ
根本 文子
管理栄養士/介護支援専門員/社会福祉士

コラム監修

株式会社ツクイ
根本 文子
管理栄養士/介護支援専門員/社会福祉士

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