熱中症予防は脱水症を知ることからはじめよう!

熱中症は毎年多くの方の命を奪う恐ろしい病気ですが、その熱中症の背景には脱水症が潜んでいます。熱中症予防の基本は脱水症予防と言われています。今回は脱水症の基礎知識を知り、脱水症のチェック方法、熱中症の症状や処置についてを紹介いたします。

体の水分について知ろう

私たちの体の水分には、純粋な水だけではなく、汗がしょっぱいと感じる成分であるナトリウムなどの「電解質(イオン)」という物質が含まれています。
体の水分は、「体温調節」「栄養素や老廃物をスムーズに運ぶ」「体内環境を維持する」など、とても重要な役割を果たしています。

それでは、電解質は具体的にどのようなものなのでしょうか?
電解質には主に、ナトリウムやクロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。これらは5大栄養素である「ミネラル」に属しているため、普段の食事からの栄養によっても摂取できますし、大量に汗をかいた後などは、市販されているスポーツドリンクやイオン飲料、経口補水液でも簡単に補給することができます。

『かくれ脱水』チェック法

脱水症になると、体にどのような変化が現れるのでしょうか。簡単にできる『かくれ脱水』のチェック方法をご紹介します。

主な熱中症の症状

脱水症が原因となり引き起こす熱中症のおもな症状をご紹介します。

・めまいや立ちくらみ、顔のほてり、体温の上昇
・筋肉痛や筋肉のけいれん、足がつる
・倦怠感や吐き気、頭が重い、頭痛、体がぐったりして力が入りにくい
・汗のかき方がおかしい(何度拭いても汗が出る、もしくはまったく汗が出ない状態)
・まっすぐ歩けない、自分で動けない、水分補給ができない、呼びかけに反応しない、おかしな返答をする

熱中症の処置

軽度の熱中症の処置についてご紹介します。

・涼しい場所(風通しのよい日陰や涼しい室内など)へ移動、水やスポーツドリングなど水分補給をする。
・身体を冷却:衣服を脱がせたり、ベルトやネクタイ、下着はゆるめて身体から熱を放散させる。露出させた皮膚に水をかける(濡れタオル拭く)。うちわや扇風機などで扇ぐことにより体を冷やす。氷のうなどがあれば、それを首の両脇、脇の下、大腿の付け根の前面に当てて皮膚のすぐ近くにある太い血管を冷やす。

※呼びかけに反応しない、おかしな返答をする、自分で動けない、自分で水分が取れないような状態の時などは、速やかに救急車を要請してください。

熱中症についてQ&A

Q、コーヒーやビールなども水分補給しているといえますか?

A、カフェインを含むコーヒーや緑茶、お酒のアルコールなどは、確かに水分ですが、同時に利尿作用がありますので、飲んだ分だけ尿として体外に排出されてしまいます。水分補給としては、カフェインを含まない麦茶やミネラルウォーターがおすすめです。

Q、休日に仲間とゴルフへ。暑い日だったので、ミネラルウォーターでこまめに水分補給してたのに突然倒れてしまいました。原因は脱水症と言われました。水分補給をしていたのになぜでしょうか?

A、水だけ飲んでいた為、電解質不足による脱水症でしょう。スポーツにより大量に汗をかいた後は、多少塩分が必要な場合があります。市販されているスポーツドリンクやイオン飲料で水分補給をするのもよいでしょう。

Q、夏の水分補給はいつでも塩分などの電解質も一緒に摂取したほうがいいのでしょうか。

A、水分と電解質、双方を補給することで体内のバランスを維持するように心がければ、効率の良い水分補給と脱水予防になります。
ただし、夏だからといって、塩分を多く摂るのは要注意です。炎天下でのスポーツや通勤などで、一気に水分・塩分が不足した際は効果的ですが、休日など特に汗もかかず、運動もしていない時はミネラルウォーターやカフェインを含まない飲料水で水分補給は十分です。普段の塩分等を含む食事で電解質補給されるのでバランスは保たれます。


熱中症は夏の時期に多いですが、脱水症は夏と冬、年に2回ピークがあると言われています。冬の脱水症は風邪などによる発熱や下痢が原因となる事が多いようです。いずれの時期でも『かくれ脱水』を早期に見つけ、脱水症を起こさないことが大切です。熱中症や脱水症の基礎知識をつけ、予防をしっかりとして元気な体で過ごしたいですね。

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