住宅内に潜むリスク~高齢者の住まいを見直そう~

住み替えも多いこの季節、高齢の方が安心して暮らせる住まいづくりを考えてみませんか?
2019年の国民生活基礎調査によると、介護が必要となった主な原因の12.5%が骨折・転倒によるものでした。また、東京消防庁によると、日常生活における事故で救急搬送された高齢者のうち80%以上が転倒事故によるもので、発生場所は半分以上が住宅等居住場所となっています。
では、住宅内にどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?

訪問介護やデイサービスなどツクイで長年の在宅介護に携わり、現在は介護事故の予防やサポートを行なっている島さんに、住宅内に潜むリスクや対応策について伺いました。

訪問介護で見えてくる高齢者の住まいの現実

訪問介護では、初めてサービスをご利用される場合、事前にサービス提供責任者がご自宅をお伺いし、サービス提供時のお客様の動線や使用物品など細かい点を確認して訪問介護計画を作ります。過去にヘルパーやサービス提供責任者、管理者として、様々なお宅を訪問訪問してきましたが、その中で住宅内のリスクを感じたのは、マンションなどの集合住宅よりも一軒家、中でも長く住んでいるお宅でヒヤリとした経験が多くありました。
一軒家は若い時は問題ないのですが、高齢になると、上がり框や室内の段差、照明の暗さや室温などによって、生活に支障をきたしているケースも見られます。そのような古い住宅にお一人住まいという高齢者も多くいらっしゃいます。
中には、寒さのあまり、床に何枚もカーペットやマットなどの布類を重ね、その上にコタツを置き、すぐそばに石油ストーブを置いていたお宅もあり、転倒はもとより火災の危険も感じました。
お客様にとって、ご自宅は毎日過ごす場所です。毎日過ごしていると「今まで大丈夫だったのだから」とリスクに気づきにくいのかもしれません。しかし、昨日まで大丈夫だったからといって、今日も大丈夫とは限りません。
大切なのは、気づいた時に一つずつ対策をとっていくことだと思います。ご本人が気づきにくい場合は、ご家族が協力してもいいと思います。ご家族が遠方に住んでいらっしゃる場合でも、一緒に考えることなら大きな負担なくできるかもしれません。
2020年度に起きたご自宅内での事故のうち、一番多いのは、リビング、次いで浴室、玄関やダイニング、と続きます。ご自宅内のリスクとその対策を図にまとめてみました。

高齢者の住まいのリスクと対策

一番不安な場所から一つずつ!

一度にすべての対策をとることは難しいと思いますが、「一番不安だな」というポイントから一つずつ対策を考えてみてはいかがでしょうか。また、掃除機などの頻繁に使用する家電はコードレスのものを選んだり、電球が切れたらすぐに交換する、すべりやすいスリッパや室内履きを避けるなど日常生活について見直すのも大切ですね。
対策をとってみると、「こんなに快適になるなんてもっと早くやれば良かった」と言う方もいらっしゃいます。住み慣れたご自宅が安全な場所であるために、またご自宅での生活を長く続けるために、ぜひ住まいの安全性について考えていただきたいと思います。

コラム監修

株式会社ツクイ
事故相談課 課長
島 千鶴

コラム監修

株式会社ツクイ
事故相談課 課長
島 千鶴

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