技能実習生が作文コンクールで「最優秀賞」を受賞しました。

2023年10月13日

ツクイ・サンシャイン岡谷で実習しているベトナムの技能実習生のグエン ティ タイン トゥイさんが「第31回外国人技能実習生・研修生日本語作文コンクール」において「優秀賞」を受賞しました!作文をご紹介します。

「見つけた!苦手に効く薬を」

グエン ティ タイン トゥイ
NGUYEN THI THANH THUY

誰にも得意な事や不得意なことがあります。私は人と話すことはとても好きなのですが、人前で話すのは昔から大の苦手です。学生の時の発表でも毎回緊張して手に汗をかいていたほどです。こんな私に「何か良い薬はないかしら」と考えてはみたものの、あがり症に効く薬などありません。そんな私が介護施設で自分の苦手に直面することになるとは、来日前には想像もしていませんでした。

配属となった直後にスタッフの仕事ぶりを勉強している中で一つ気になる業務がありました。それは一人のスタッフがお客様の前で元気よく大きな声を出しながら進行していく体操でした。見た瞬間に私の最もやりたくない仕事だと思いました。数カ月が過ぎたある日、指導員から「そろそろ体操を一人でやってみましょうか」と言われたのです。その時はうまくごまかしましたが、私はいつかはやらなければならないことを感じ取りました。そして、避けていた体操をついにやる日が来てしまいました。

私が担当する体操は手を使う体操です。毎日参加だけはしていたので内容は頭の中には入っています。いよいよ私の進行が始まります。「グー、チョキ、パー」お客様に参加してもらえるように私なりに声を出しました。しかし、なかなかお客様が反応してくれません。焦り始めた私は笑顔もすっかりなくなってしまいました。結局、見かねた指導員が私の横で助けてくれたことで初日は終わりました。

その後、指導員からある話を聞きました。私より1か月前に入社したスタッフがいて、私と同じように一人でやることになった時、家にある鏡の前で何度も練習したというのです。私はその話を聞き、次回に向けた練習で私もやってみることにしました。「あの時は笑顔が消えていたわよ」と指導員から言われた言葉を思い出しながら笑顔で何度も練習を重ねました。

そして、再チャレンジの日、指導員から「肩の力を抜いてね」と励まされた後、私は一人一人のお客様の顔を見ながら笑顔で体操を始めました。すると一人のお客様が私と一緒に声を出しながら体操をしてくれています。それから徐々に他のお客様も私と一緒に体操をするようになり私はホッとしました。何とか2回目の体操を終えた後、お客様から「発音がとても良かったわよ」と声を掛けられ、私はとてもうれしくなりました。

それからの私は人前での緊張もすっかりなくなり、今では「いきいき体操グループ」の一員までになりました。ところで私は苦手を克服できたのでしょうか。いいえ、そう簡単には克服できません。でも、はっきり分かったのは苦手なことから目を背けずにしっかりと向き合って克服する気持ちこそが大切であるということです。それが一番苦手に効く薬なのだと思います。何か人前で話す機会が訪れた時は、逃げずに必ず打ち勝ちたいと思っています。今日もまたお客様は元気に体操していることでしょう。私の「グー、チョキ、パー」の声とともに。

BACK
TOP