2024年の夏の気温は全国的に平年より高い見込みと言われており、エアコンの使い方など、高齢のご家族の熱中症対策にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は、高齢者が熱中症になりやすい理由とその対策をご紹介します。
どうして高齢者は熱中症になりやすいの?
熱中症により救急搬送された人を年齢別に見てみると、約半数が満 65 歳以上と高齢者の割合が最も多いことがわかります。なぜ高齢者は熱中症になりやすいのでしょうか。
体内の水分量が減っている
加齢に伴い、食欲の減退や食べ物を飲み込む嚥下機能の低下が生じると、水分の摂取量が減ってきます。また、体液を多く蓄積する筋肉量が落ちることも体内の水分量が減ってしまう原因です。
内臓の働きが低下している
加齢とともに内臓の働きが低下することも脱水症を引き起こす要因です。特に体内の水分量をコントロールする腎臓の働きが低下すると、塩分濃度を適正に調節できなくなり、脱水症に陥るリスクが高まります。
感覚機能が低下している
認知症や加齢によって暑さやのどの渇きなどを感じにくくなるなど、感覚機能が低下することで脱水を起こしやすくなります。
病気や排泄障害がある
病気による多尿や頻尿、排泄障害などにより、体内の水分量が減ってしまうことがあります。
薬を服用している
血圧を下げる降圧剤や心臓の薬など、利尿作用のある薬により、体内の水分量が減ってしまうことがあります。
高齢者が熱中症になりやすいのはどんなとき?
熱中症になるのは、屋外にいるときだけではないようです。高齢者が熱中症になりやすいのはどのようなときなのでしょうか。
湿度が高いとき
汗をかいても蒸発しにくいため、熱が下がりにくくなります。
季節の変わり目、急激に温度差が生じたとき
体が熱さに慣れておらず、体温調節がしにくくなります。
寝不足のとき
体温調節の働きが鈍くなるため注意が必要です。
高齢者の熱中症の予防法
高齢者の熱中症の予防で大切なのが、水分補給と部屋の温度調節です。高齢者の体の特徴を理解し、適切な水分補給と部屋の温度を保てる環境を整えましょう。
1日に必要な水分を定期的に補給する
高齢者の1日に必要な水分摂取量は、体重1キログラムあたり約40ミリリットルといわれています。
体重50キログラムの人の場合は約2リットル。この数値には食事の際に食べ物から摂取する水分量も含まれており、食事の際に食べ物から摂取する水分量は大体1リットルなので、食事以外に約1~1.5リットルの水分を摂取しましょう。
高齢者に対しては、あまり時間を空け過ぎないよう水分補給を促していくことが大切です。
好みの飲み物を把握して準備しておくなど、高齢者が自発的に飲むような工夫をしたり、フルーツやゼリーなどで水分補給をすることも有効です。
部屋の温度や湿度の調節
暑い夏場に節電を意識しすぎてエアコンの使用を控えるのは危険です。夜寝ている間に脱水症になる可能性もあるため、無理な節電はせず、室内の温度を適温に保つよう心がけましょう。
高齢者がエアコンを消してしまう場合
ツクイの介護スタッフが夏にご家族から多く受ける相談が、エアコンの使用についてです。 「エアコンの風が嫌い」「電気代がもったいない」「暑くない」「操作がわからない」といった理由でエアコンを使ってくれないことを心配されているご家族へスタッフがお伝えするエアコンの使い方をご紹介します。
風が直接当たらないようにする
高齢者の中には、「エアコンの風が嫌い」とおっしゃる方も多いようです。そんな場合には、エアコンの風が直接当たらないよう風向を調節したり、家電量販店で販売されているエアコンの風よけカバーなども有効に活用できそうです。
窓を少し開けたままエアコンをつける
窓を少し開けてエアコンを使用することにより、部屋も冷えすぎず、万が一エアコンを消してしまっても風が通る状態を保てます。
操作は家族が行うか、冷えすぎない温度設定で常時つけっぱなしにする
真夏は冷えすぎない温度設定でエアコンをつけっぱなしにしすることも有効です。認知症などを伴っている場合は、リモコンで思わぬ操作をしたり、エアコンを消してしまったりすることもあります。リモコンの管理はご家族が行い、高齢者が目に付く場所にリモコンを置かないようにすることも手段の一つです。
他の部屋でエアコンをつけ、間接的に冷やす
「エアコンの風が苦手」「冷えすぎる」と訴える場合には、隣の部屋でエアコンをつけ、間接的に高齢者の部屋を冷やすことも効果的です。
温度計を目につくところに置いて、分かりやすいルールを作る
高齢者の体の特徴として、感覚機能が低下していることも挙げましたが、実際に暑さを感じにくくなっている場合は、部屋に大きめの温度計を設置し、「28度になったらエアコンをつける」など、分かりやすいルールを作ることで納得してエアコンを活用できる環境を作ることができます。
最近は、スマートフォンと連動した家電や見守りグッズも増え、高齢の家族を持つ方にとって便利なものも増えてきました。それらの導入も検討しつつ、今の環境でもより安全に過ごせる方法を、ケアマネジャーや介護スタッフと一緒に考えていけるといいですね。