ツクイ・サンシャイン大東「お客様の今と過去に触れ、絆を深める」

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お客様に関心をもって理解を深めることが、「夢ケア」実現には欠かせません。

やりがいが人生を豊かに

 ツクイ・サンシャイン大東では、「夢ケア」で1つの思いをかなえること以上に、どのように、ご本人の理想とする生活を支え、そして、生きがいを見出せるかという点を大切に考えています。日々喜びを実感しながら生活していただくためには、日頃から穏やかでいられる環境や、お客様ご本人の自尊心を高める関わりが欠かせません。
 A様(80代・女性)は折り紙を好まれ、今でも毎日のように作品を作られています。そして、その作品を施設に来られるお子様やボランティア、行きつけのお店などにお渡ししては、喜ぶ顔が嬉しいとおっしゃっています。また、折り方を私たちスタッフやほかのお客様に教えてくださることもあり、とても楽しまれている様子でした。そこで、昨年からこの特技をいかし、内覧に来られた方にお渡ししているお土産の入れ物を作っていただくことを提案しました。まず、スタッフから制作の意図をお伝えすると、ご快諾いただきすぐに試作品が届けられました。美しく精巧に作られた箱は、折り紙であることを忘れるほどの完成度で、実際に受け取った方からもとても好評です。もちろん、A様は現在も毎月のように、嬉々として「内職」に励んでおられ、周囲の期待に応えることで、よりいきいきと過ごされるようになりました。そんなA様の夢は、「折り紙を折りながら、眠るように静かに逝きたい」というもの。私たちスタッフはこの思いを胸に、好きなこと、得意なことが長く続けられる環境を提供し続けていきたいと考えています。

折り紙の名人のA様。コマやお花、いろいろなものを折り紙で制作。

ご来訪者に大好評の、精巧に折られた箱と厨房スタッフ手作りのクッキー。

作品を通して知る歴史と人柄

 現在、当施設では、お客様の好きなことや得意なものに焦点を当てた「イロイロ人生展」を定期的に開催しています。これはA様の折り紙制作から発展したもので、エントランスに展示コーナーを設け、お客様の過去にできていたこと、得意だったことに焦点を当てた作品を紹介しています。介護はお客様の症状や気分など「今」の状態だけを見てしまいがちです。年齢や病気によってできなくなっていることのほうに意識が向き、ともすればケアをしている私たちが、できないことをやってあげているという認識を持ってしまいかねません。作品展開催にはこの意識に変化をもたらす意図も含まれています。ご家族に相談をしてお借りした作品は、壮大な刺繍や木彫りの彫刻などどれも力作揃い。また、ゴルフやカラオケに興じる写真や、ご自身が創業された会社の社史など、お客様の歴史にも触れられる展示をさせていただき、来訪された方々からは「こんなご経歴だったのか」「すごい経験を積まれていたんですね」など、大きな反響をいただきました。

A様は、ほかのお客様にもとても丁寧に折り方を教えてくださいます。

「イロイロ人生展」では、お客様の趣味や特技を展示しています。

過去を知ることが未来につながる

 「イロイロ人生展」での取り組みによって最も変わったのは、スタッフの視点です。私たちがお迎えする以前のお客様の姿を拝見し、「できないこと」だけでなく「できていたこと」にも目が行くようになり、趣味や仕事、ご家族との出来事など、お客様が率先してお話しされる話題で、より絆を深められるようになりました。加えて、この視点の変化はお客様だけではなく、スタッフ同士にも波及しています。当施設では、今年の4月よりベトナムからの技能実習生が勤務しています。私たちから見えている技能実習生は、新しい環境で、覚えるべきことの多い毎日を頑張っている姿です。しかし、そんな姿だけではなく別の視点からも技能実習生のことをより理解しようと考え、本人が制作した日本語解説付きの写真でベトナムを紹介する「ベトナム展」を企画しました。これにはお客様だけでなく、スタッフも興味を持ち、国籍が異なっていてもお互いを知ることで、チームとしてより強く結束するきっかけになりました。
 お客様の現在の状態をよく知ることはとても重要ですが、目で見えていることだけがその方の全てではありません。大切なことは、相手に興味を持ち、さまざまな角度から眺めて考える、感じること。それが「やってあげているお手伝い」になるか、「寄り添う介護」になるかの分かれ道だと思います。ツクイ・サンシャイン大東では、これからも当施設に関わる全ての人が、互いに「今」だけではなく「過去」に興味を持つことで、お客様のより良い「未来」を実現するお手伝いをしていきたいと考えています。

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