自分の足で歩く ~「その杖ホントに合っていますか?」自分にあった杖選び~

「自分の足で歩く」をテーマに、株式会社DIGITAL LIFEで健康増進支援サービスを担当する理学療法士の林さんと、介護用品などシニアライフを応援するECサイト『SONOSAKI LIFE』担当者の砂山さんによる対談。前編では介護予防を目的としたウォーキングについてお伝えしましたが、後編となる今回は、シニアの筋力低下等による『歩行をサポートする杖えらび』をお伝えします。

杖の種類はさまざま、目的に応じて杖を選ぶ

砂山:買い物や近所を散歩している時に、歩行が不安定な高齢者を見かけて「杖を使う方がいいのでは・・」と感じる時があります。でも何かきっかけがないと杖を購入しないですよね。一般的にはどのようなきっかけで杖を利用し始めるのでしょうか?

林:ご本人が自分で必要性を感じて購入するケースもありますが、まだまだ少ないですね。主治医やご家族から薦められる事が多いのではないでしょうか。ご自分の足で歩くこと自体は大切なことですので、杖などの福祉用具で安定した歩行ができるといいですね。

砂山:杖は種類も豊富で商品数も多いので「どれを選んでいいか分からない」というお問い合わせをいただくこともあります。

林:身体の状態によって必要となる杖は異なります。杖の役割は「片足のサポート」ですから、右膝が痛むなど片足に不安を抱えているが杖を持てば歩行が安定するという方が適用となります。両足に不安がある場合は歩行器など他の福祉用具が向いている場合もあるので、まずは整形外科などで専門家に相談していただきたいです。

一本杖(T字型杖)

もっとも一般的なタイプで歩行の補助として使用する。グリップ杖の形状からT字型・L字型・丸型があり、折りたたみタイプや伸縮タイプなど種類が豊富

多点杖

杖先が3点、4点に分岐している杖を指します。下肢の筋力低下や片麻痺により歩くスピードがゆっくりな方には有効。デコボコ道には向いていないので屋内で使用される事が多い杖

ロフストランド杖

リハビリにも使われることも多く、カフ(前腕を通す環部分)とグリップの2ヶ所で体重を支えるので体重を分散しやすい。腕の力や握力が弱い方も安定しやすい杖。カフがO型とU型の二種類

松葉杖

骨折や捻挫をしている方など下半身をサポートしたい方に有効な杖

自分にあった一本杖(T字型杖)の選び方

砂山:杖の中でも一本杖(T字型杖)は利用されている方も多く、お問い合わせいただく事も多いです。

林:ご自身に合ったT字型杖を選ぶポイントは、「使う頻度」と「必要性」です。
普段は杖を使用しないで歩いている方が補助的に使用する場合は、折り畳み式や細めの杖でよいと思います。日常的に杖を使った方が安定する方は、体重をかけても安定するように太めのシャフトの杖を選ぶといいですね。もし、足を交互に踏み出して歩くことが難しい場合は、多点杖がお薦めです。あとはグリップを握った時に手の大きさに合うか確認してください。握力に自信がない方は太めのグリップの方が安定する場合も多いです。

砂山:確かに杖を使うには、腕の筋力もある程度必要ですよね。

林:腕の筋力に不安がある方の場合、一本杖ではなくロフストランド杖という選択肢もありますので、あくまでご自分の身体や生活に合わせて杖を選んでいただきたいですね。
以下に一本杖の使い方をまとめてみました。

一本杖(T字型杖)の基本的な使い方

【使う前に】
一本杖(T字型杖)は、グリップ(持ち手部分):シャフト(柄部分)・杖先ゴムの3パートからなっています。使う前に、シャフトの長さを調整します。
腕を真下に下ろして、背筋を伸ばしてまっすぐ立ちます。腕をまっすぐ下ろしたときに手首の小指側の骨(尺骨)あたりにグリップがくるようにシャフトの長さを調整します。

【持ち方】
杖は必ず健足側(痛みなどがない方)の手で持ち、患足(痛みがある方)をサポートします。グリップは体重をしっかりとかけられるように、人差し指と中指でシャフトを挟むように持つか、人差し指をシャフトに添えて他の指でグリップを握ります。

【歩き方】状態に合わせて以下の順番で歩きます。杖をつくときは、つま先から約15㎝斜め前方を目安にしましょう。
杖→患足→健足の順番で歩く、または、杖と患足→健足の順番で歩く

砂山:杖先のゴムが消耗した時、お客様の中には、杖先ゴムを交換できる事をご存じない方もいらっしゃっいました。使い続けるとゴム部分がすり減りますから定期的に交換していただきたいです。

林:杖先ゴムの交換は使用頻度にもよりますが、半年~1年が目安ですね。杖先ゴムは多点のものなど様々なタイプがあります。一本杖が少し心配になってきたという方でも、杖先を多点に交換するだけで安定する場合もありますから、ぜひ定期的に見直してください。
何といっても「自分の足で歩きたい」という想いは尊いものだと思います。これからも理学療法士として、高齢や障がいをお持ちの方々に寄り添い、その方が送りたい生活が実現できるように全力で支えていきたいです。

砂山:アプローチ方法は林さんと異なりますが、私もECサイト「SONOSAKI LIFE」を通じて生活必需品だけでなく高齢の方が豊かな日常生活を送っていただけるよう、これからもっともっと多様なライフスタイルを提案していきたいです。

対談前編~抗重力筋にはたらきかけるウォーキングのすすめ~はこちら

シニアライフを応援するECサイト『SONOSAKI LIFE』

コラム監修

株式会社DIGITAL LIFE
DIGITAL WELLNESS事業担当
理学療法士 社会福祉士 介護支援専門員 リハビリテーション学修士
林 悠太

コラム監修

株式会社DIGITAL LIFE
Webサービス事業
ECサイト「SONOSAKI LIFE」運営担当
砂山 ちひろ

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株式会社DIGITAL LIFE
DIGITAL WELLNESS事業担当
理学療法士 社会福祉士 介護支援専門員 リハビリテーション学修士
林 悠太

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Webサービス事業
ECサイト「SONOSAKI LIFE」運営担当
砂山 ちひろ

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