介護保険とは
高齢化の進展や核家族化の進行などにより介護が社会問題となる中で、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、2000年4月に導入された公的保険制度です。40歳以上の国民全員が保険料を支払い、その保険料や税金をもとに介護が必要な人が1割(所得により2割もしくは3割)の自己負担で介護サービスを受けられる制度です。

介護保険を利用できる人
介護保険料を支払い、以下の条件を満たしている人が利用することができます。
第1号被保険者
65歳以上で介護や支援を必要とする人
第2号被保険者
40歳から64歳までの人で、特定疾患(※)により介護や支援を必要とする人
※特定疾患
- がん末期(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
要介護認定の手続きと申請の流れ
介護保険を利用するためには、お住いの市区町村への申請と、要介護認定を受ける必要があります。その手続きと申請の流れをご紹介します。
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①相談する
お住いの市区町村の窓口や福祉事務所、地域包括支援センターなどに相談してみましょう。
市区町村の相談窓口は、「介護保険課」や「高齢福祉課」などがあり、介護などに関する様々な相談を受け付けています。 ②要介護認定の申請をする
所定の申請用紙に必要事項を記入し、介護保険被保険者証(※)とともに提出します。
原則として申請してから30日以内に認定結果が通知され、認定結果は申請日から有効です。※第1号被保険者(65歳以上の人)は介護保険被保険者証を、第2号被保険者(40歳から64歳までの人)は医療保険の被保険者証
③認定調査を受ける
市区町村の認定調査員が自宅や施設などを訪問して、本人の心身状態や日常生活の様子などの聞き取り調査をします。
認定調査の結果はコンピューターによる一次判定が行われます。その後主治医の意見書などをもとに介護認定審査会で保健、医療、福祉の観点から二次判定が行われ、要介護度が決定します。④申請結果の通知を受け取る
申請結果は、「認定通知書」と「介護保険被保険者証」で通知されます。
「認定通知書」に書かれている要介護度区分を確認しましょう。区分は、「要介護1~5」、「要支援1・2」、「非該当」があります。区分によって利用できるサービスや利用限度額(区分支給限度額)などが異なります。
要支援・要介護度の認定区分の目安
非該当(自立) | 日常生活上の基本的動作を自分で行うことができる。介護保険での介護サービスは必要ない。 |
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要支援1 | 日常生活はほぼ自分でできるが、現状を改善し、要介護状態予防のために少し支援が必要。 |
要支援2 | 日常生活に支援が必要だが、要介護には至らず、改善する可能性が高い。 |
要介護1 | 立ち上がりや歩行が不安定。排泄や入浴などに部分的介助が必要。 |
要介護2 | 立ち上がりや歩行などが自力では困難。排泄・入浴などに一部または全介助が必要。 |
要介護3 | 立ち上がりや歩行などが自力ではできない。排泄・入浴・更衣など全面的な介助が必要。 |
要介護4 | 日常生活能力の低下がみられ、排泄・入浴・更衣など全般において全面的な介助が必要。 |
要介護5 | 日常生活全般について全面的な介助が必要。意志の伝達も困難。介護なしでは日常生活が不可能。 |
1ヵ月の区分支給限度額と自己負担額
(単位:円) | 認定区分 | 区分支給限度額 | 自己負担額 (1割) |
自己負担額 (2割) |
自己負担額 (3割) |
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予防給付 | 要支援1 | 50,320円 | 5,032円 | 10,064円 | 15,096円 |
要支援2 | 105,310円 | 10,531円 | 21,062円 | 31,593円 | |
介護給付 | 要介護1 | 167,650円 | 16,765円 | 33,530円 | 50,295円 |
要介護2 | 197,050円 | 19,705円 | 39,410円 | 59,115円 | |
要介護3 | 270,480円 | 27,048円 | 54,096円 | 81,144円 | |
要介護4 | 309,380円 | 30,938円 | 61,876円 | 92,814円 | |
要介護5 | 362,170円 | 36,217円 | 72,434円 | 108,651円 |
- ※自己負担額の割合(1割~3割)は所得により異なります
- ※区分支給限度額を超えてサービスを利用される場合は、自己負担額が10割となります
- ※市区町村により区分支給限度額が異なる場合があります
- ※区分支給限度額の対象外となる加算があります
介護保険利用の流れ
「要介護1~5」、「要支援1・2」と認定されると介護保険のサービスを利用することができます。介護保険を利用するには、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらう必要があります。ここでは、その手続きと流れをご紹介します。
①ケアプランの作成を依頼する
要介護度区分によって、ケアプランの作成依頼先が異なります。
「要支援1・2」と認定された人は、地域包括支援センターへ依頼し、「要介護1以上」と認定された人は、ケアマネジャー(介護支援専門員)のいる居宅介護支援事業所(ケアプラン作成事業者)へ依頼します。
ケアマネジャーとは
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護や支援が必要な方が介護保険のサービスを受けられるように、ケアプラン(介護サービス計画)の作成や介護サービス事業者との調整を行う、介護の知識を幅広く持った社会福祉の専門家です。
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②ケアプランを作る
ケアマネジャーは、自宅での生活を続けたいのか、それとも介護施設への入所を希望しているのかをはじめ、困っていることや、どのような介護サービスを受けたいのかなどを聞き、その人に必要な介護サービスを提案してケアプランを作成します。
③介護サービスを利用する
ケアプランが決まったら、介護事業者や介護施設と契約して介護保険サービスの利用を開始します。